サーフェイサーって要る?

プラモを塗装する際に下地としてサーフェイサーを吹きましょう、みたいなことが模型誌などを読むと書いてありますが
そもそも本当に必要なの?って思っちゃった方に向けて私なりに回答しますと
必要なときは吹く!みたいなフワッとした感じで、さも(言うたった!)な感じでドヤ顔かましかねません。
しかしそれではこの記事が終わってしまうので、サフが必要な場面を考える前に、
サフを吹いた場合の効果について改めて考えてみようと
そんなわけで一般的に言われているものを挙げてみますと

  • 細かい傷消し
  • 細かくない傷探し
  • パーツの透け防止
  • 塗料の食いつきを良くする
  • 色を均一に揃える
  • 発色を良くするための下地色にする

パッと思いつくのはこんな感じです。
これらを踏まえて、お次はそれぞれの効果について考えていきます。

…その前に、あらかじめ申し上げておきますと、私はそもそもサーフェイサーは殆ど使いません。
そのため、ここからは割とサーフェイサーいらなくね?って内容になりがちですが、
それでも私の塗料棚にサフの瓶はあるわけで、勿論これがなくなったら買いに行きます。
なんやかんやで必要な場面はあるのです。

細かい傷消し

そもそもサーフェイサーというのは、ざっくりいってしまうと薄めたラッカーパテのようなもので
塗料としてみた場合、比較的塗料の粒が荒いものとなっています。
そのため、パーツ表面にある微細な傷を埋めてくれる効果があります。
ちなみにこの場合の微細な傷というのは紙やすりを当てたあとのザラザラ感くらいのものを指して
ゲート処理に失敗した跡や、スジボリを掘ろうとしてはみ出した傷に対しては無力なのでそこは別の手段で頑張りましょう。

また、粒子の荒い塗料ということはそれなりにデメリットもあります。
まずは細かいモールドを埋めてしまったり、表面があつぼったくなってしまうことが挙げられます。
(これは極端に厚く吹いた場合や本当に繊細な造形の場合の話なので考慮しなくても良いかも)

加えて、粒子が荒いということはサーフェイサーを塗った表面はそれなりにデコボコしていて、触るとザラザラするほどではありませんが基本的に艶消しです。
最終的に艶消し仕上げにする場合はこれでも全く問題ありませんが、光沢仕上げにする場合や、メッキ調塗料などの粒子が更に細かい塗料を使う場合は表面を更に細かい番手のヤスリで磨く工程が発生します。
写真はカーモデルを光沢仕上げにするため、サフ吹いた後に更に細かいヤスリをあてたところです。

また、各メーカーからサーフェイサーにはそれぞれ銘柄や番号(ファイン、スーパーファイン、500、1000など)が振られていて
これらは粒子の大きさを表しているそうなのですが正直実感できるほど使い込んでないのでよくわかりません。
でも例えば、「600番のヤスリを当てたらファインサフ吹いておけばメタリック塗料を塗っても綺麗に仕上げられる」だったり
「そもそも艶消しで仕上げるなら600番までヤスリ当てればサフ吹かなくてもOK」など色々試して自分なりの基準を決めると
サフを吹く手間が省けるシーンが見えてくると思います。

細かくない傷探し

これはMGクロスボーンガンダムのバインダーにある肉抜き穴をパテで埋めているところです。
なんかパッと見上手くできている気はしますが、ぶっちゃけこういうのは一発でうまくいくことはありません。
どううまくいってないかはサフを吹くと一発でわかるわけで…

結果はコチラ、ちゃんと埋まってない箇所や余計なところに付着しているパテなどがバッチリ確認できると思います。
このように、普通のサフは艶消しのライトグレーなのでパーツ表面の状態が一発で分かるようになるわけです。

でもよく考えると、この結果だけを求めるなら別にサフじゃなくても良いわけで、極端なことを言うと艶消しのライトグレーでも代用できるわけです。
…といっても実際のところ、傷チェックのためにライトグレーを常備しておくより、大瓶に入ってるサフ使うのが便利で手っ取り早いと思います。

パテ埋めなどの加工でなくとも、例えばカーモデルのボディのヒケやパーティングラインを確認するためにも有効です。
特に赤い整形色の場合、傷チェックのために凝視していると目がチカチカするので、私は一旦サフ吹いて見やすくしたりします。

パーツの透け防止

プラモデルのパーツを部屋の電灯などにかざすと、光が透けて見えるわけなんですが
これをサーフェイサーで防止しようというわけです。
ただこれは個人的に懐疑的で、ちゃんと塗ったら済む話じゃない?って思うわけです。
例えば、サフ吹いたあとのライトグレーを真っ白になるくらい塗ったらそりゃサフ吹かなくても透けないと思うんですよね。
他に電飾を仕込む場合でも遮光性を高めたい場合はサフよりブラックやシルバーを塗るべきで、サフにその効果を求めるのはウーン…?です。

塗料の食いつきを良くする

これは特によく言われていることなんですが、少なくともプラの部品をラッカー塗料で塗る場合はサフやプライマーは不要です。
あと、ガンプラの関節など可動部にサフを吹いて剥がれ防止、というのもウーン?な話で
それよりはサフを省略して塗膜を一層減らす方が効果あると思います。
そもそもプラの部品にラッカー塗料で塗装して食いつかないって場合はたぶん別の問題かと
(乾燥時間が足りない、表面に油分が付着していた、など)
※水性塗料はあんまり使ってないので正直分かりません。

とはいえ、これはプラに対して塗装した場合の話で、ここからはプラじゃない場合についてご紹介

例えばバンダイ自慢の一体成型のパーツ
切り離すだけで手首やフレームが出来上がるという優れモノですが、説明書を見るとABS、PP製とあります。
ABSはさておいて、PP(ポリプロピレン)ってつまりポリキャップと同じ素材なのでそのままだと塗装してもすぐ剥がれちゃいます。
ということでサフを吹いて、サフに含まれるプライマー成分で塗装を食いつかせるワケです。

が、それってプライマーを直接吹けばいい話なんですよね。
特に最近はミッチャクロンやガイアマルチプライマー、タミヤPPプライマーなど、優秀なものが出ているのでそっちを使った方が確実です。

他にもエッチングパーツなどのメタルパーツ
これもプラモデル用塗料では食いつかないのでサフ…といいたいところですが、これも各社メタルプライマーやマルチプライマーの方が確実だと思います。
その他、レジンや合成ゴム、傷チェックの例で出てきたパテなど、そのままでは食いつきが悪い素材が色々あるのですが、サフでもいいんだろうけど最近各社から出ている優秀なプライマーの方が間違いないというのが私の所見です。

色を均一に揃える

模型誌などでよく見る、サフで全身グレーになった状態のガンダム。
パテやプラバンなどのいろんな素材で改造をすると、パーツが継ぎはぎになることもあるのですが、そこにサフを吹くことで形状を分かりやすくする効果があります。
(加えてパテを使った箇所へのプライマー効果も)
また、全身を同じ色にすることで組み上げたときの全体のバランスを確認する場合にも有効なのでガシガシ改造する場合は中々に有効です。
逆にそうでない場合、特に私がよくやるストレートに作る場合は組み上げて全身グレーにするのはあんまり意味ありません。
(なんかカッコいいからやりたくなるのは分かるけどね!)

発色を良くするための下地色にする

例えば黒いパーツに色を塗る場合、ブラックやグレー、カーキなどはそのまま塗った場合でも十分にその色になり、これを隠蔽力が強い、なんて表現したりします。
反対にホワイトやレッド、ブルーやイエローなどはそのまま塗るとプラスチックの色が透けてしまう色を隠蔽力が弱い、と表現しこういう色を塗る場合は何度も塗り重ねるか、あらかじめ下地となる色を塗ってカバーします。
具体例でいうと黒い部品を白くする場合は、まずグレーを塗ってからホワイトを塗ると比較的簡単に仕上げることができるわけで
このグレーの役割をサフに任せてしまおうというワケです。


また、何もグレーに限らずとも、例えば赤くしたい場合はピンクを下地にすると発色が格段に良くなります。
最近はピンクやスカイブルー、クリームイエローのサフが出ているのでこれらを使い分けるのもオススメです。

ただし、これも実はサーフェイサーである必要はなく、実際写真の例もピンクサフではなく下地用ピンクの塗料を使っています。
でもこれが例えば金属製のモデルであれば、ピンクサフ使うとプライマー効果を得つつ下地色も塗れて便利ですよね。

ピンクを下地にしてレッドを吹き付けたところ
赤は特に隠蔽力が弱いのですが、実際やってみると面白いくらいに鮮やかな赤に仕上げることができます。

余談ですが、タミヤのマスターワークシリーズって実際にプラモとして発売しているものを工員さんが組み立てて販売しているようで、赤い車の場合は整形色がピンクの特注品になっているものがあるそうです。
そのため直接レッドを塗ることができるため、下地を塗る工程を削減しつつ塗膜も一層分薄くできるわけですね。


ただ、ここで一つ注意したいのはサフ色=最適な下地色ではないということです。
例えばしょっちゅうやることになるガンダムにホワイトを塗るときですが、ぶっちゃけグレーの部品をムラなく綺麗に白くするのって結構大変です。
しかもその場合、何度もホワイトを重ねる必要があるので塗膜も厚くなり単純によろしくありません。
そもそも、白い部品を白く塗るときは下地をグレーにする必要はありません。
とはいえ、パテを使って加工した箇所などはしょうがないので部分的にサフを吹いてそこだけ厚く塗ったりして対処することもありますけどね…

まとめ

ということで、色々いちゃもんつけてるみたいな文になりつつも色々考えてみましたが、じゃあ要らないの?ってことはありません。
ただ、食いつきをよくするためだけならプライマーでOK、全体をグレーにしたいならグレー吹けばOKなだけで
それらの効果を併せ持った便利な下地塗料がサーフェイサーというものなのです。
ただここで注意したのは下地塗装=サーフェイサーではないということで、最適な下地というのはぶっちゃけケースバイケースです。
そんなわけで、長々と書きましたけどこんな感じです。
ちなみに私はこう思っているというだけで、各人がいい感じに判断すると良いと思います。
そもそもこういう物議をかもしそうな内容の記事はあんまり書きたくないッス!